2017年12月9日土曜日
Slither.io
今回の本文は大塚明夫さん風に書いてみましたので、是非とも声真似で音読、もしくは頭の中で大塚明夫さんになりきって読み進めて下さい。
※知らない人。
ググれば幾らでも出てきますが、
こんな感じの声優さんですよ↓(๑☣ˇд☣ˇ)و✧カッコイイッ
https://www.youtube.com/watch?v=HMGIE0gfz8c
ログインした途端に突然のディゥーーン!
その騒々たるSEに驚くところから、今日の砂漠生活が始まった。
何ごとかと思いログを確認すると、どうやら堅い黒結晶の欠片を獲得したらしい。
『どうなってやがる。まだ何もしてないのだが……』
私はそう小声でもよく通る音量をつい現実へ発しながら、ゲーム内の鞄の中身を確かめた。
採集などしていなかった。というよりゲームを始めて僅か一秒後の話なのだ。
ログがあるのだから当たり前のことだが、実際に黒結晶は手に入っている。
……そして、火炎鱗の花も。
『そういうことか』
私は疑問の答えを察し納得した。
新入りペットのハリネズミさんたちが、このふたつを拾ってきたわけだ。
まったく、本当に大した子たちだ。
特技、自動採取。
5分に一度、アイテムを採取してくる。
それにはレア枠である黒結晶まで含まれていたというわけだ。
そう、
自動採取。
今回はこの自動採取にまつわる、
お手軽な無料ゲームを紹介しようと考えていrつなぎ強引だなー……( ゚ェ゚)
紹介するのは、
Slither.io
http://slither.io/
無名なゲームではないから、既に知ってる人も多いのではなかろうか。
ミミズになって、
ライバルの死体を貪って、
大きく成長していく。
楽しく遊んでいる内には気づかないが、
何度もやっているといずれ、
他者を蹴落とすためのスキルを学んでいる。
それは身も蓋もない言いようかも知れないが本当だ。
このSlither.ioというゲームは、有無を言わさずその大人のスキルをいたいけな大脳にインストールしてくるであろう。
最初のシーンだ。
大丈夫。何をインストールする必要も無いブラウザームだ。リンク先へ飛べば、直ちにこのスタート画面にたどり着ける。
早速だが見てみろ。何やら画面の真ん中が、Nicknameを挿れて欲しそうにしているだろう。遠慮なくぶち込んでやれ。
早くしろ。何をもたついてる?
おい、自分の名前ではないぞ……。安易に本名など晒すもんじゃない。
落ち着け。自分のミミズの名前だ。
画面の中央に、何でも構わないので自分のミミズの名前、いいかもう一度言うぞ? 自分のミミズの名前、を入力しよう。
いや待て。待つんだ。手を止めろ。
ここでひとつ、留意して欲しいことがある。
ゲームだからといって、この命が誕生する瞬間を馬鹿にしてはならないぞ。
そのミミズは、今貴方が入力しようとしている文字列で名前が決まるんだ。
生涯その名を背負って生きていくことになるのは現実と変わらない。
分かるか?
頼むぞ。それだけはどうか、忘れないでくれ。
あまりキラキラと輝いた命名をしてはならないと、私は具申する。
名前を決定すれば、直ちに群雄割拠のミミズ戦場に放り込まれる。
慌てることはない。
貴方はカーソルを用いて自分のミミズを導くだけだ。
対戦のルールは一つだけ。
バトルロワイヤルだ。
味方など居ない。
たった一人で生き抜け。
貴方のミミズは、他者の胴体に頭をぶつけてしまうとお亡くなりになる。
死因は脳震盪だ。
いいかそれはつまり、逆に自らの胴体を相手の頭にぶつけてやれば、殺傷せしめられるというわけだな。
ルールはそれだけ。その様に立ち回ろう。
さあ、ゲームを始めるんだ。
貴方のミミズに四散した相手のバラバラ死体、いや光の泡を吸収させていけ。
そうすることによって、長く太く成長していくぞ。
しかし、硬くはなれない。硬さはみんな平等なんだ。
ヒットポイントとしていうなら、全員が1だけというわけだな……待て待て? 男性の陰茎の話などしていないだろう。顔を赤らめるんじゃない。そもそも男性の陰茎なら硬さは不平等で……
いや、話を戻すぞ。やれやれ。
その泡の吸収についてだが、いちいちクリックして拾い集める必要など無い。
自動採取だ。
それと、テクニックも一つしかない。
左クリックを保持してみろ。ミミズの移動スピードが上がっただろう。
テクニックともいえないこの一つだけが、操作方法の全てだ。
さあ、ライバルを追い抜いてやれ。
ただ、それをすると体力を消耗し、ミミズは小さくなっていく。
男性の陰茎と同じだ。
ここぞという時に使うといいだろう。
スタート時の最小サイズまで戻ってしまうと、また大きくなるまでダッシュは出来なくなる。
……疲れ果てたら、もう走れないんだ。
誰かの何かで癒されるまでは。
このゲームは人生と同じことを教えてくれる。
そういった意味では、あの名作ゲーム『風ノ旅ビト』に似たところがあるかも知れないな。
説明は以上。これ以上何も言うことが無い。実にシンプルなゲームだな。
だが、貴方はきっと何時間もこのミミズゲームに時間を費やすことになるだろう。
『黒い砂漠で放置してる僅かな時間をSlither.ioで潰そう』
などと言ってられなくなる。
すぐにSlither.ioのほうがメインとなってしまうはずだ。
始めてみるとすぐに気づく事だが、他の人、いいやミミズどもの胴体は、実に様々な色をしてるだろう。
どうだ。羨ましいか?
貴方も好きな色に変えることが出来る。
画面左下、Change Skinから変更を行うとよい。
……さあ、どれくらい遊んでみたかな?
他者にぶつかって、ぶつけてを繰り返して、もうすっかりハマってしまったことだろう。
長く太く大きい立派な体躯にまで成長したなら、『死ねない』と感じて尋常じゃないほどドキドキしたんじゃないか?
相手を囲い込んでいると思っていたら、デッドヒートに負けて自分の方が囲まれていたりしたんじゃないか?
悔しいか? お気の毒様。
まあ落ち着くんだ。これはゲームだぞ。
だが、分からないでもないさ。
どんなことでも、負けたら悔しいものだ。
だが、私はSlither.ioに限っていえば、負けてもさほど悔しくない。
これは相手の死体である光の泡を食べていくゲームだ。
そして、自分もいずれ光の泡にされる刻がやってくる。
光の泡となって消え去る……。
このワードは、私を遠い過去の憶い出へと彷徨わせるものだ。
それは甘く切ないストーリーを演じた舞台演劇だった。
私がまだ小さい頃の話。
住んでいた市の本町へ、親が運転するワゴン車で向かった。
秋だったと思う。
市役所と映画館を兼ねた建物へ入ると、親に促され生まれて初めてのチケットという紙を買った。
そこで見た公演が、人魚姫だった。
大人になったばかりのその人魚は、海の上の嵐が気になりそわそわしていた。
姉が行くなと止めるが、やがて好奇心が勝り、どれほどの大荒れ模様なのかと見に上っていく。
そして彼女は、ボロボロになって今にも沈みそうな漂流船の中で、美しい王子を見つけた。
気を失っている。
これはいけないと彼を抱え上げ、沈みゆく船から脱出した。
荒れ狂う嵐といえど、そこに棲む人魚にとっては慣れ親しんだお庭とかわらない。
だが、陸地まではとても長い距離がある。
肌で感じる王子の体温がまだ暖かい内に、たどり着かねばならない。
迷っている暇はない。
尾ひれを含む自分と同じくらいの重さの彼を抱えたまま、彼女は必死に泳ぎ始めた。
少年の域を脱したばかりの男の子。
大人になったばかりの自分と同じだ。
だがはっきり違うことといえば、お互いの寿命の長さだろう。
彼は短命な人間。
彼女は永遠とも思えるほどに長い刻を生きていく人魚だ。
何かしらの想いが生まれていくのを感じながら、彼女は遠くからしか見たことの無い陸地へ向かっていく。
天候が何度か変わった頃、ようやく目的地が見え始めた。
まばらに人間たちの家屋が立ち並ぶ小さな港町。曇り空のその更に向こう側には、巨大な王宮がかすんでいるようだ。
城下町という言葉を彼女は知らなかったが、人が人を支配していることだけは感じられた。
心など縛ること叶わぬ自由なものなのに、人間は人魚の様に自由には生きられないらしい。
間近で見る人間の土地に、これほど冷たい印象を受けたのは、分厚い雲が光をほとんど遮っているから、だろうか。
ひと気のない修道院の崖下を選んで、人魚は最後の体力を使って泳いでいく。
初めて触る砂浜に、王子の体を横たえた時には、彼女はすっかり疲れ果てていた。自慢の尾ひれも擦り傷だらけだ。
しかし彼女はそれを意識しなかった。
彼に恋していた。
いつの間にか、自分で助けたその王子を好きになっていたのだ。
身体の疲れや痛みなど気にならないほどに、突然湧き起った愛念の大嵐。
のちの世で、ナイチンゲール症候群と呼ばれる恋の風邪だ。
ここまでの短いとはいえない旅路。
彼を助けるためだけに頑張った時間。
死ぬ寸前だった他人は、彼女の身体の中に暖かな火を残してしまった。
目を覚ましてくれない彼を、しかし飽きることなく見つめていると、崖の上の修道院から女性が出てきた。
突然壊されたふたりきりの世界を名残惜しく思いながらも、人魚は慌てて海の中へ隠れた。
人間にその姿を見せてはならない。
人魚にとってそれは、絶対に守らねばならない掟。
……ましてや好きになるなど、禁忌を超えるものだ。
想いをよせてしまった彼の体は、その修道女に運ばれていった。
これで良かったのだと念じながら、辛い光景を振り切った人魚は海を戻り始めた。
だが、何日過ぎても王子のことが忘れられない。
時折浜辺を見に行った。
あの修道女と王子が親し気に歩いているのを遠くから何度も見せつけられた。
傷心と抑えがたい恋慕にもだえ苦しみ、疲れ果ててしまった彼女は、とうとう魔女の家を訪ねてしまう。
何でも叶えてくれるという恐ろしい姿をした魔女は、しわがれた声で人魚にこう言った。
『お前の美しい声をおくれ。替わりに二本の足をやるよ』
人魚は迷った。
彼の許へ行くための足が貰える。
だが、二度と人魚には戻れない。
姉はもちろん反対している。
『人間なんかになったら、たったの百年も生きられず死んでしまいますよ。だからおやめなさい』
人魚は美しい尾とその長寿の魂、そして声を失った。
彼女は王子と一緒になる未来を選んだのだ。
浜辺に向かい、何もかもを捨てて得た両足で歩いてみると、ナイフで突き刺されるかの如き激痛に襲われた。
『だたの魚だったお前が、いきなり自由に歩けはしないよ』
振り返ると魔女が居て、もともとは人魚のものであった可憐な声で、続けてこうささやいた。
『王子の愛を得られなければ、お前は死ぬからね』
後付けの条件でついに命までもがかかってしまった人魚。
彼女は必死に這いずって、ひと気のある町の方向を目指して進み始めた。
もう後戻りは出来ないのだから。
だが、目もくらむ痛みに苛まれ続けた彼女は、とうとう気を失ってしまう。
そしてなんと、彼女は想い人である王子に助けられた。
王宮の彼の自室。
ベッドの上で目覚めた憔悴してる彼女を労わろうとしたのか、彼はたくさんの話を言って聞かせてくれた。
自分も以前嵐で大怪我をしたので、君が他人とは思えなくて助けた。
修道院のシスターに助けられ、辛くも命を取りとめた。
そのシスターを好きになってしまったが、修道院からはもう居なくなってしまったようだ。
何としてももう一度会いたいが、彼女はあまり自分のことを教えてくれなかった。
人魚であった彼女は愕然とした。
目の前の王子を助けたのは自分なのに。
その勘違いを正したい。
でも、声は出なかった。
誤解されたまま彼女は療養生活を過ごした。
やがて体が元気になって、自由に歩けるようになったあとも、彼女は王宮での居住を許可された。
声が出ないから想いは伝えられない。しかしそれでも幸福だった。王子は彼女にとても優しくしてくれる。
そんなある日。
『僕は結婚しなければならない……。顔を見たこともない相手とだよ』
王子と親しく過ごしていた夢のような日々が、まさに夢の彼方へ消え去っていく想いで聞いていたが。
『そんなのは嫌なんだ。だから、どうしても断り切れなかったら、お前を連れて何処かへ逃げるよ』
尾ひれがあったならピチピチしてしまうことだったろう。彼女はとても喜んだ。
しかし、幸福に包まれた日々は終わりを迎える。
王子が無理矢理に政略結婚させられる他国の王女こそが、あの修道院のシスターだったのだ。
王族が教養のためと称して修道院へ送られるのは、よくあることだった。
王子は思いがけない想い人との再会で喜び、その王女との結婚を決めた。
あっさり捨てられてしまった人魚。
いや、人魚ではない。
そして、王子の愛を得られなかった彼女は、人間としてもその命が消えてしまうだろう。
何もかも捨てて王子への愛を選んだのに、何もかも失ってしまった。
途方に暮れ浜辺を歩いていると、背中に軽くぶつかってきた何かがあった。振り返ってみると貝が落ちていて、そして浅瀬に姉が居た。
久しぶりの再会に喜ぼうとしたが、姉は何故か物々しいナイフを握っている。
「魔女からぶんどってきたのよ。これで王子を刺し殺しなさい。それでそなたは人魚に戻れるのです」
迷い。
再びの迷い。
その後の運命を永遠に決定してしまう決断をすぐさませよと迫らている。
尾ひれと不老不死。
そして声を失ってまで得た足で、彼女は何か報われたのだろうか。
手渡されたナイフを見下ろす。
姉がいつ海の向こうへ帰ったのかも、自分がいつ王宮の自室へ戻ったのかも、まったく覚えていない。
懐に隠したナイフのこと以外、何も考えられなかった。
全ての幸福を失い、命まで終わろうとしている自分。
巡り合わせに恵まれ、喜びの未来へ向かって浮かれている彼は、もう後ろに居る誰かに振り返ってくれない。
そしてまた彼女は、哀しい道のほうを選択する。
王子の部屋に忍び込み、ナイフを彼の胸に振り下ろす直前まで、彼女の心の中には憎しみが渦巻いていた。
お前の命を助けたのは私だ。
あの女はお前の本当の命の恩人じゃない。
私なんだ。
私なんだよ。
声は海に置いてきた。
だから、握りしめたナイフで想いを伝えよう。
お前の愛は、本当なら私が受け取るべきものだった。
言いたくても言えなかった。
自分だけ幸せになるなんて許さない。
膨らんでいく憎悪が、自制しようとする心を押し潰そうとしている。
されど、その狂気の手は止まった。
彼の幸せそうな寝顔が、彼女の心ではなく、彼女の視界を解かしたのだ。
涙。
全ての色が、混じり合わずにひとつとなった。
これまでたくさんの幸せをくれた人。
誰かを好きになる気持ちが痛いほど分かる彼女には、同じく愛に悩んできた王子を殺すことなどできなかった。
人魚はいつも彼に共感していた。
愛しい人に振り向いてもらえない。
自分もそうであるから誰よりも切なく、相手の歯痒い想いをも理解していたのだ。
失恋仲間であった王子のその恋が実った。
喜んであげたい気持ちも本当はある。
望んでいたのは自分の幸せだけではない。
この人の幸せだって願っていたはずだ。
そこまで愛しいと感じられる人に振り下ろそうとしているこのナイフは、いったい何なんだろう。
彼と一緒になりたい。
なりたかっただけ。
……殺したい?
それはいったい何処から湧きあがった気持ちなんだろう。
彼女は今、修道院の崖の上に立っている。
海を眺める。
王子を抱えて必死に泳いだ海。
故郷。
いつも自分を想ってくれた優しい姉。
たくさんの幸せを思い出してから、
涙をぬぐい、
一度だけ王宮を振り返りると、
今日は憎らしいほどの晴天だと気づき、
あの曇り空の日の憶い出が悲しくならないうちにと、
彼女は絶壁からひと息に飛び降りてしまった。
彼への永遠の想いを抱えながら、
光の泡となって消え去った……。
役者が熱演しているのだ。そんなことも忘れ、私はこの救いようのない話に唖然とした。
つ、つづきは無いのか?
ここで終わりなのか?
魔女に対して本気で頭にきてしまったし、人魚姫さんが可哀想で可哀想でならなかった。
代わってやりたかった。
このよく通る声で、王子のやつに全部何もかも説明してやりたかった。
納得のいかない想いに苛まれ、涙が止まらなかった。
幼い頃の、数少ない覚えている記憶。
その中でも、まったく薄れない大切な想い出のひとつだ。
あの舞台に連れて行ってくれた両親はもう……片方居ないけれど、たくさんの愛をくれたことに、今でも感謝している。
最後まで読み進めれば、Slither.ioのミミズ話に繋がると思っていた人もおそらくいらっしゃるのだろうが、知ったことではない。
うそだろΣ(`・д´・ ;)
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