[珊瑚の欠片ひい 0/100個]
[珊瑚の欠片ふう 7/100個]
[珊瑚の欠片みい 13/100個]
[珊瑚の欠片YO 13/100個]
[珊瑚の欠片いつ 27/100個]
[珊瑚の欠片むう 62/100個]
[珊瑚の欠片なの① 62/100個]
[珊瑚の欠片なの② 62/100個]
[珊瑚の欠片なの番外編 佐々木先生(1巻)]
よーし。乳房の習字プレートも完成したし、あとは明日に備えて寝るだけだな。
運命の明日に備えて……ネ! うふふ。ウヒッヒヒ。
明日はカワイターノちゃんとボキュが、晴れて夫婦に――――あっはっは。それは流石に気が早いぞボキュ~。晴れて結婚を前提に交際を始める日さ。
フフン。
物事っていうのは控え目に言わないとね。それが大事な物事であればあるほどに。
うふふフフンぐひぐひ。
早く明日の物事楽しみてー! 物事カモォ~ン!
……む?
むむむ? むーん、裏側が寂しいな。
これは書道の半紙に見立てたオブジェクトなのだから、全然これでいいんだが。
何だ?
何が気になっているんだボキュは。これこそ半紙のあるべき姿ではないか。
あっ、そうか――――
もしカワイターノちゃんがこっち側から見てしまったら、乳房だと分からずに混乱してしまうかも知れない。そうだよ。それは有り得る。
うわあああ有り得る! あの子ちょっと阿呆だから有り得る!
『私の大切なマップに、ワケ分からんもん作りやがった!』
って誤解しちゃうかも知れない! 違うのに! そうじゃないのに!
『百年の恋も冷めるとは正にこのこと!』
有り得る! 誤解が逝き過ぎてそうなっちゃう可能性は十分有り得る!
カワイターノちゃん勢いある子だから!
むーん、それでは困る。困るぞー。せっかくここまでやったのに、ボキュの愛が伝わらないなんて目も当てられないじゃないか。
よし、裏側は隠そう。
虚しい誤解を与える前に裏側の鏡文字は見えなくなるよーにしよう。それがいい。
だが、ただ真っ白にして隠すのも芸が無いからな。少し凝ったものを拵(こし)えてやろうじゃないか。
私もこう見えて昔はマインクラフターだった。その技能と根気を活かすべき時だ。
一面をサトウキビ畑にして縦に回収するシステムを作ろう。
少し懐かしいな。このサトウキビタワーを幾つも作ったものだ。
いや待てよ。
これだけの面積のサトウキビをバンと一気に回収すると、カワイターノちゃんのこのチンケな端末はフリーズしてしまうかも知れない。
彼女が下の地面に作っていた、ただブロックをウェーブさせるだけの無駄オブジェを流用して、
負荷を減らそうか。これなら回収機構が順番にウェーブして、緩やかにサトウキビを押し出してくれるはずだ。
さーて、これは大仕事になるぞ。
まぁ朝までには間に合うだろう。確かに大変な作業ではあるが、今できる努力は今すべし。何のことは無い。今夜寝れなくとも明日の夜寝たらいいんだしな。
そう。そうさ。
明日の夜、ボキュはカワイターノちゃんの胸の中で寝るのさ。
あの慎ましい胸の中で……うひひぶひぐひっぐふじゅるじゅる。
よし! 漲(みなぎ)ってきた! 漲りパワーでレッドストーン回路を並べるための土台を作り終えたぞ。
光源バグが頻繁に起こるな。チンケな端末ゆえに処理が追いついてないんだ。
高いのを買ってあげたい。マイクラを最最最高設定にしても余裕の120FPS以上で遊べちゃうよーなのを買い与えてしまいたい。
だが今は、教師と生徒・成年と未成年の仲だ。そんな不適切な真似は許されない。
……ぬふッ。明日からは両想いだから、何の問題も無いのだがな。ぬふぬふふッ。
両想いになれば全て平気さ。両想いは無敵なんだ。世間や法律、いいや世界を敵に回したとしても、ボキュと彼女の愛は壊れやしないのさ。
でもちょっと、赤石回路並べるの疲れたな。少し休もう。
この町の中心にある井戸の周囲から立ち昇る8本の光柱は、ビーコンからのものだ。
ピラミッド状に積んだブロック群の頂点にそのビーコンブロックを置けば、この様に天へ向かって光柱が立ち昇る仕組みなのだ。
きっと井戸の地下には、ピラミッドを8個も埋めてあるのだろう。
しかしこの狭い間隔でピラミッドは作れないはずだから、高低差をつけて埋め込んだのだろうな。
これのギッシリ化には、掘り返したり埋没させたりの作業を繰り返して、随分苦労したと思う。
まるで自分の経験かの如く情景が浮かぶ。怖い何故だ。
さて、どの家の中で休憩しようかこの家にしよう。
おお、レインボーカラーのカーペットじゃないか。虹じゃないか。
……キミも好きだったのか。尊厳と多様性、そして愛の色を。
嗚呼、カワイターノちゃん。
キミとボキュは本当に本当にぴったりだね。
ぴーったりなんだねぇぇー。
さあ、休んでばかりはいられない。
明日から身も心もぴったり化する可能性を少しでも高めるための努力を! 血と汗と涙をどれほど流しても完遂しなければ。
し、しかし。これは飽きとの戦いだな。同じ回路をずっと並べていくだけの作業。
うーむ。気が狂ってしまう。私は極めて正常な人間だが、このままでは気が狂ってしまうかも知れない。何か手を打たなければ。
おお、そうだ。
気分転換に何か違う物を造ろう。
向かいのマッシュルームアイランドが寂しそうだから、そっちに野球場でも作ろうじゃないか。
どんなに高いホームランでも外に出さない壁を作ってやるぞ。
そしてこれを見たカワイターノちゃんが、外に出さないでとか何とか言うのだ。
ふはは。出来たぞ。
カワイターノちゃんがまだ手をつけていなかった真っさらなキノコ島に、ボキュが巨大な野球場の壁をぶち建ててやったぞ。
これで彼女もメロメロだな絶対。
トドメに超デカくて太いゾンビを出しておくか。
いいや、それは流石にエッチ過ぎるか。消しておこう。
乳房とその裏側一面に広がる甘ぁ~いサトウキビ畑、プラスこの玉を外に出さない球場で、十分ボキュの気持ちは伝わるはずだ。
それにしても、こうしてマイクラをやっていると色々思い出すなぁ。
クラフターだった頃のボキュは、効率のいいTT造りにずっと熱中していた。
TTとはトラップタワーの略だ。暗室で湧かせたモンスターを自動で連続処理していく装置のこと。放置プレイでドロップアイテムを大量獲得できるという、マイクラ公式が嫌がっている悪魔の塔であり、実にボキュ好みのシロモノでだった。
T字状に描いて説明したのはブラックジョークだ。[マイクラ トラップタワー]で画像検索すると、多くのクラフター達が実に様々な形状のTTを考案しているのが分かる。今でも見ていて飽きない。
しかし――――
コマンドブロック実装以降、ボキュは全てが阿呆らしくなってしまった。
大掛かりなTTを作らずとも、これがあるだけで総て事足りる。
足りてしまうんだ……。
コマンドブロックを数個用いるだけで、どんな巨大TTにも勝る機構が生み出せてしまう。
落ちたら死ぬ様な高さの座標に、モンスターを連続召喚してやるだけでいい。
今作ってるサトウキビタワーだってそうだ。
サトウキビを中空に設置するコマンド。
同じ座標にサトウキビを設置するコマンド。
これを超高速で延々と繰り返すだけだ。
サトウキビが次のサトウキビに自分の座標を奪われる。
そうして後から後から来る次のサトウキビに追い出され続けていく。
サトウキビたちは『うわー!』って言ってその場に落ち、どんどん溢れていく。
ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れないんだってBUMP OF CHICKENが『カルマ』で言ってた。
マイクラのブロックも同じ仕組みなんだ。
ボキュが此処でどんなに大規模なサトウキビタワーを作ったとしても、たった4つのコマンドブロックに敵わない。
なんだか……並べるの虚しくなってきたな。
けど、ボキュは負けない。
ここまでやってやめるワケにはいかないし、何よりボキュは――――
カワイターノちゃんを愛しているから。
愛はコマンドブロックなんかに負けない。収穫量は負けてるだろうが……収穫量?
そんなのただの数字だ。数字に心なんて無い。数字に愛なんて無い。
愛が計算できるか? できないだろう。
……でも、ちょっと。やっぱり飽きてきたな。くぅ~この単純作業辛い。
もう一度気分転換が必要だ。
何をしようかな。何をしてあげようかな、このマップに。
そういえば彼女は、キノコ島だけじゃなくネザーやジ・エンドまでもこの地上マップに接続していた様だ。
やれやれ、とんでもない魔改造を好む人物なのだな。将来有望すぎて、逆にこっちがついていけるのか心配なほどだ。
だったら? この世界本来の地獄、ネザー空間にはいったい何があるんだろう。
そしてジ・エンドには?
興味があるな。ちょっと見てくるか。ネザーから行ってみよう。
先ずは砂漠のブロックを少し撤去してスペースを広げます。
そして、超デカいネザーゲートを作ってやります。
準備完了。ふっふっふ。このデカくてガバガバの地獄への扉を見たら……カワイターノちゃんきっとエッチなこと考えちゃうだろうな。
さぁ~て。グヘヘ。
では彼女の恥ずかしい裏側のネザー世界はどうなっているのか、拝見しちゃおう。
……え? な、なんだ此処は。
此処は本当にネザー世界、なのか?
つづく
[珊瑚の欠片なの番外編 佐々木先生(3巻)]
BUMP OF CHICKEN カルマ
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